テクノアドバンスから販売開始された日本語書体制作ツール「Typographer」の動作デモの発表会に行ってきた。会場は渋谷の居酒屋で、今回の会をご連絡いただいた大崎さん、味岡さん、成澤さん、七種さん、片岡さんなど 10人くらいが集まっていた。進行は味岡さんが Macbook を開いて説明するというスタイルで、時折ビールをついだり、ついでいただいたりしながら和やかなムードで行われた。

Typographer は Adobe Illustrator のプラグインで機能を一言で表すならば書体制作用の変形ツールと言えるだろう。通常、Illustrator での変形は長体をかける、平体をかける、サイズの大小といったことしか出来ないが、Typographer ではそれに加え、ウエイト(黒み)のコントロールが可能だ。通常、ウエイトのコントロールをする場合、予め細いエレメントと太いエレメントを作っておき、それをブレンドツールで中間を作成するといった方法をとるが、Typographer ではウエイトの違う 2 つのエレメントを用意する必要はなく、1 つのエレメントから自在にコントロールできる。おそらくエレメントの中心軸を自動的に取得して、細くする場合にはその軸とエレメントでインターポレーションをかけ、太くする場合には軸とエレメントとでエクストラポレーションすることでコントロールしているのだと思う。(未確認)

また、Typographer を使った長体や平体などの変形は通常の Illustrator での変形とは異なり、長体の場合は縦画を、平体の場合は横画の太さをキープしたまま変形することが出来、必要に応じて太さを調節することも可能だ。これらの機能は一見してシンプルだが、Illustratorを使った書体制作においては大いに役立つだろう。7000文字にも及ぶ漢字の制作では偏の幅を広くしたり、狭くしたり個々の漢字によって調整する必要がある。こういった微調整は偏だけに限らず至る箇所で発生するので Typographer による字幅のコントロールや黒みの調整は開発期間短縮の一助となるのである。

一方でプログラムによって自動的に変形されているということも忘れてはならない。自動的に変形されるので、場合によっては意図通り変形できない可能性も考慮する必要がある。その場合は手動でパスの位置やカーブの微調整を行う。

実際のワークフローへ取り入れる場合にはまずは試用してみて、Typographer のいいところ、悪いところを確認することが望ましい。販売元のテクノアドバンスのウェブサイト(http://www.techno-advance.co.jp/typGra/)に 30日間無料体験版があるので購入前にダウンロードすることをおすすめする。なお、動作環境は、Win/Mac 版の CS3、4となっているので、バージョンの確認もお忘れなく。製品版の価格は 35,000円(税込)也。

最後に、この会を企画していただいた皆様どうも有り難うございました。